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AM (中波) ラジオについて考える

1石レフレックスラジオ

シンプルな回路で仕上げるようがんばったレフレックスラジオです。このタイプのラジオ用の高周波トランスさえ市販されていたならば(実際は、現在日本では入手がほぼ不可能なので自作の必要があります)、再現は容易と思います。回路定数はあまり追い込んでいないので、音質はいまいちかもしれません

回路図(旧)

回路図(旧)

回路図(改)

回路図(改)

(ウィキペディアにほぼ同じ図がありますが、私が投稿したものですので)

回路検討事項

バーアンテナは PA-63 のような、タップ型のものだとまずいようです(高い周波数にチューニングできなくなった)。同調用と取り出し用で巻線が分かれているものでないとうまくできませんでした

高周波チョークの前からキャパシタで高周波信号を取り出す方法もありますが、ここでは高周波トランスを使ってみました

中波ラジオ用の高周波トランスは絶滅部品のようですが、なんとか通販で入手できた、コイルを巻き直せる構造の高周波チョーク(4mH)のコイルをほどいて、トランスとして手で巻き直して使いました。回路図では考え方として巻数比を変えていますが、実際に使ったものはバイファイラ巻き(ただし捩らず)で同じ回数巻いています

C1 と C3 は RF をバイパスしてアースに落としています。C1 が無いと正帰還過多で発振しやすくなるでしょうし、C3 が無いとイヤホンのコードに高周波が乗って、やはり異常発振の原因になるでしょう。0.01μF としているのは経験則からです

C2 は大きめです。これより大きいと、電源投入時に十分に充電されるまで時間がかかって、音がすぐ出てこなくなります

R1 は消費電流が 0.5〜1mA になるよう、カットアンドトライで決めました。トランジスタの hFE によって適切な値は変わるでしょう

トランジスタは手元にあった 2SC1815 を使いました。NPN 型の似たようなトランジスタならなんでもいいでしょう

ダイオードは検波用のゲルマニウムダイオードを

R2 の 100kΩ は C2 が放電されっぱなしにならないよう充電する目的のものですが、無くてもダイオードの逆方向漏れ電流で? 大丈夫のようでした(改良版では削除)

ボリュームは高周波トランスをショートして、発振止めと音量調整を兼ねるものです。私の家の電波状況では、発振がちょうど止まるくらいで、マグネチックイヤホンで静かに聞くぐらいの音量になりました

出力トランスにサンスイの ST-32 を使ったところ、電池 1 本 + 1 石 でも、マグネチックイヤホンで聞けるラジオになりました

PC 用のアンプ内蔵スピーカにつないでスピーカを鳴らすこともできますし、高周波トランスの入手難さえなんとかなれば、プリント基板にパターンを起こして教材としても悪くないと思います(出力トランスがパーツとしては高価なのがネックか)

改訂版についての覚書

シリコンダイオードを、シリコントランジスタのバイアス電圧のために使う回路をネットで目にしたことからいじり始めたのですが、その方向ではうまく行きませんでした。あれこれやっているうちに、バイアス回路と検波回路を直列にしてしまう回路を思いつき試してみたところFBに動作したので採用し、旧版から改訂版へのアップデートとなりました

実装

参考資料

  1. 「2石レフレックス・ラジオに学ぶ高周波回路の設計手法」JA1EJL 盛上 栄治、CQ ham radio 誌、第 65 巻 第 2 号(通巻 764 号、2010 年 2 月号)、pp. 92〜98
  2. 『ラジオで学ぶ電子回路』( http://www.rf-world.jp/bn/RFW07/index.shtml )藤平 雄二、第7章 レフレックスラジオ、RFワールド・ウェブ・ブックス
  3. 「ブレッドボードラジオ」の 1 石レフレックスラジオ( http://bbradio.sakura.ne.jp/tram14/tram14.html

1 は高周波トランスを使った作例として、2 はボリュームの使い方について、参考にしています。また ST-32 により 1 石でもマグネチックイヤホンの駆動が可能という点は 3 に先行例がありました